みなさんこんにちは!あじたまごです。
今回は、『治験国内管理人(ICCC: In country Clinical Care-taker)』という、
耳にはするものの、あまり経験者はいない業務についてご紹介します。
ICCCは、特に日本に進出していない外資系製薬メーカーがグローバル試験を実施する際に重要な役割を果たします。
ICCC業務に関心のある方や、CROでのキャリアを考えている方にとって、非常に有益な情報になると思います。
それではいってみましょう!
製薬メーカー(治験依頼者)とCROの違い
製薬メーカーとCROの役割
製薬メーカーとCROは、治験を成功させるために重要な役割を果たしますが、
それぞれの業務内容には大きな違いがあります。
製薬メーカーは、新薬の開発を目的とし、治験の計画から実施、承認までを担当します。
一方CROは、同じ目標を持って取り組むものの、
製薬メーカーから治験の一部または全体を受託し、実務を担当するサービス業です。
CROは、治験の運営やデータ管理、規制当局との対応など、幅広い業務を提供する:
これが本来のCROの役割です。
指示・命令関係の違い
製薬メーカーとCROの関係は、指示・命令する側とそれを実行する側に分かれます。
製薬メーカーが治験の全体像を指示し、CROはその指示に従って実務を遂行します。
この関係性が、ICCCにおいても重要な要素となります。
ICCCでは、CROが製薬メーカーの代理として業務を行うため、
通常のCRO業務よりも高い裁量と責任が求められます。
つまりCROに居ながらも製薬メーカーと同等もしくはそれ以上の経験が積める。
それがICCC案件だね!
ローカル試験とグローバル試験とICCCの違い
ローカル試験の特徴
ローカル試験とは、日本国内のみで実施される治験のことを指します。
日本の法規制のみに基づき、国内の被験者を対象に行われるため、
国際的な調整が必要ない分、試験の管理が比較的容易です。
また日本の医療環境に特化した試験デザインが可能であり、迅速なデータ収集や対応が期待されます。
グローバル試験の特徴
グローバル試験は、複数の国で同時に実施される治験であり、各国の法規制や医療環境を考慮して設計されます。
この試験は、国際的な治験データの一貫性を確保するため、試験プロトコルの統一、
各国の規制の統一(ICH-GCP等)が求められます。
グローバル試験には、各国のCROが参加し、現地の治験業務を担当することが一般的です。
試験モデルの比較
試験のモデルの主な業務の違い
ローカル試験のモデル
ローカル試験では、日本国内での実施のみを考えて業務が行えます。
規制当局であるPMDA(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)との連携は、
基本的に依頼者側で行われます。
CROは、試験の準備から実施、データ管理までの全ての工程を担当し、
試験の進行を円滑に進める役割を果たします。
グローバル試験モデル
グローバル試験にはいくつかのモデルがあります。
- グローバル試験①:製薬メーカーが全体を指揮し、各国のCROが指示に従って業務を遂行。
- グローバル試験②:一部の国で製薬メーカーが直接管理し、他の国ではCROが業務を担当。
- グローバル試験③(ICCC):日本国内ではCROが治験依頼者としての役割を担い、製薬メーカーの代理として業務を行う。
ICCCの面白さと利点
CROでの貴重な経験
ICCCは、通常のCRO業務よりも広範な業務範囲を持ち、製薬メーカーの代理としての役割を担います。
このため、CROで働く人にとっては、製薬メーカーでの業務経験を積む絶好の機会となります。
ICCCを通じて、製薬メーカーと同等の責任と裁量を持つことで、より高度なスキルと知識を習得できます。
ICCC(治験国内管理人:GCP第15条)は依頼者の感じを経験できるのでLeadやCRAにはすごく良い経験になる(大変らしいけどね)
— KJ8号@製薬メディカル (@MA_exCRA) January 9, 2023
でもICCCは日本支社の無い製薬メーカーの試験なわけで、日本のメディカルからのインプットもないので治験実施施設にKOL施設が入らんことも多いんだよね。。
キャリアアップへの道
ICCCの経験は、CROでのキャリアだけでなく、製薬メーカーへの転職にも有利に働きます。
実際、ICCCとしての経験を積んだ後、製薬メーカーのStudy Managerに転職した事例も少なくありません。
特に、グローバルチームと連携しながら業務を進める経験は、
キャリアアップを目指す人にとって大きなアピールポイントとなります。
ICCCの経験があると、転職がかなり有利!
キャリアアップへの道が開けやすいよ
ICCCを成功させるためのポイント
効果的なコミュニケーションを取る
ICCCでは、グローバルチームとの連携が不可欠です。
日本国内の治験環境や規制に関する情報を正確に伝え、試験をスムーズに進めるための調整が必要です。
効果的なコミュニケーションスキルは、ICCCの成功に直結します。
リスク管理とトラブルシューティングの徹底
治験におけるリスク管理は、試験の成功に不可欠です。
ICCCとしての役割を果たすと言う事はは、日本全体の管理をそのまま任されることになります。
日本で治験を実施する際のリスクを事前に分析し、適切な対策を講じることが求められます。
また、問題が発生した際には迅速に対応し、試験の進行に影響を与えないようにすることが重要です。
ICCCに必要なスキルセット
業務管理スキル
ICCCとして成功するためには、プロジェクトマネジメントの基本を理解し、
タイムマネジメントやリソース配分を適切に行うスキルが必要です。
特に、複数の試験を同時に管理する場合には、効率的な業務管理が不可欠です。
専門知識と技術
治験に関する専門知識は、ICCCにとって欠かせない要素です。
PMDA対応や日本国内の法規制を熟知し、試験を円滑に進めるための技術的スキルも求められます。これらの知識と技術を持つことで、より高度な業務に対応できるようになります。
コミュニケーションスキル
ICCCでは、英語力が非常に重要です。
グローバルチームとの連携や、治験に関する情報を正確に伝えるために、
日常的に英語を使用する機会が多くなります。
英語力を高めることで、ICCCとしての役割をより効果的に果たすことができます。
まとめ
ICCCは、CROにおいて重要な役割を果たし、日本市場における治験の成功に貢献します。CROが治験依頼者としての役割を担うことで、製薬メーカーと同等の経験を積むことができ、キャリアにおいても大きなプラスとなります。
CROでのキャリアアップや、製薬メーカーへの転職を考えている方にとって、非常に価値があります。
製薬メーカーと同等の業務を担当することで、より高度なスキルと知識を習得し、
キャリアを次のステップに進めることが可能です。
もし経験を積んでみたいのであれば、
まずは必要なスキルセットを身につけ、CROでの経験を積むことが重要です。
また、転職エージェントに相談することで、ICCCに関連する求人情報を得ることができます。
ICCCの役割を果たすことで、あなたのキャリアは確実に次のステージに進むでしょう。